Mini日記
Mini日記
アライメント詳細
2011年4月16日土曜日
ブレーキ強化と、それに伴ってホイールとタイヤの変更、さらにそれらに伴ってアライメント変更(ネガティブキャンバー化)をしました。今回はタイヤとアライメントについての詳細です。
先週の記事でも紹介しましたが、フロントサスペンションは調整式のロワーアームとテンションロッドに交換しました。それぞれの長さを調整することでキャスターとキャンバーを独立で調整可能です。こういう調整の自由度が大きいところはさすがダブルウィッシュボーン・サスペンションと思いますね。右上の写真、アッパーアームの上に付いているゴムの固まりがバンプラバーです。しっかり当たってましたw
そしてリアサスペンション。シンプルなトレーリングアーム・サスペンションです。アームの付け根の軸部分に調整キットを入れ、キャンバーとトーを調整できるようになりました。
右上の写真はアームの上に付いたバンプラバー。アームの奥にはハイドラスティックサスの心臓部であるディスプレッサーが見えます。
交換作業&アライメント調整は埼玉のSTOCK Vintageさんにお願いしました。調整の自由度をフルに活かしてセッティングしていただきました。詳しい数値は後半にまとめます。
今回奮発したCRホイール。CRは Cooper Racing の略で1960年代にクーパーガレージが使っていたレース用ホイールの復刻版です。
当時の本物はマグネシウム合金製だったらしいですが、 復刻版ではさすがにアルミ製です。マグネシウム合金はアルミと比べてもさらに軽い反面、腐食に極端に弱いという欠点を持ってます。
最近では他の金属との合金化や表面の塗装を工夫したりして日常生活に使えるレベルに耐食性をアップしたホイールも市販されていますが、1960年代にはそんな技術があるわけもなく日常の耐久性を無視したレース専用だったようです。
このCRホイールは歴史というか伝説てんこ盛りのホイールです。当時のツーリングカーレースのレギュレーションでは幅4.5J(11.43cm)までと決められていたそうですが、タイヤの剛性を稼ぐために少しでも太いホイールを履きたかったクーパーさんは内緒で4.75J(12.07cm)まで太くしていて、検査官の目をごまかすために刻印だけ4.5Jにしておいたそうです。また、モンテカルロで優勝したクーパーSが履いていたミニライトホイールのデザインの元でもあるそうです。そういえば何となく似てますよね。
欧米ではCRホイールではなくRose Petal Wheel と呼ばれているそうです。「バラの花弁ホイール」ですね。バラの花は12の花弁を持っているのでそれに例えているみたいです。8本スポーク+フランジのネジ穴部分4つで12弁ですかね。ちなみに黒いバラの花言葉は「貴方はあくまで私のモノ」「憎しみ」「恨み」・・・、怖いなオイw
そんな歴史?に惹かれて買ってしまいました。タートル・トレーディングのWeb Shoppingでは一本37,500円!と10インチホイールとしては異例に高額ですが、STOCK Vintageさんに他のパーツの価格と工賃含めてかなりサービスしていただけたので、浮いた差額でゲットすることができました。
ホイールナットは専用品です。サイズは3/4インチですが僕の手持ちの19mmのレンチで締めることができてラッキーでした。
右上の写真はホイールの裏側ですが、バランスウエイトは全て裏側に付けていただいてます。表側のデザインを損ねたくないというSTOCK Vintageさんの心遣いです。
注意しなければいけないポイントとして、ミニはスタッドボルトが細いためにホイールナットの締め付けトルクが普通の車よりかなり低く(6 kg・m)、知らない人が普通の感覚で締めてよくボルトをねじ切るんだそうです。 僕には6 kg・mの感覚がないのでトルクレンチを購入してトルク管理してみました。僕の力で十字レンチで軽く締め込んでからトルクレンチでさらに半回転くらいでした。早く身体で覚えたいですね。
このホイールに組み合わせたタイヤはダンロップのSP SPORT R7。昔のトレッドパターンを復刻しつつ現在のSタイヤ用のコンパウンド&技術で作られてます。サイズは165/70-10で、これまで履いていた145/70-10と比較すると直径が5mmほど大きくなります。結果的にややハイギアードになり、4速4,000rpmでの速度は92km/hrから97km/hrにアップする計算になります。
車全体の雰囲気が可愛い感じからスポーティーな感じへがらっと変わりました。タイヤが少し太くなっただけでなく、ホイールの色の影響が大きいです。
前後ホイールともポジティブキャンバーからわずかにネガティブキャンバーへ調整。冷静かつ厳密に見るとフロントタイヤがフェンダーに納まってないですね。車検ピンチか?w
アライメント調整データを以下にまとめます。
フロントキャンバー
(変更前)左 +0.6 右 +0.7
(変更後)左 −1.0 右 −1.0
フロントキャスター
(変更前)左 +3.2 右 +4.3
(変更後)左 +4.0 右 +4.0
フロントトー
(変更前) IN 4 mm
(変更後) IN 0 mm (サイドスリップ IN 1.0)
リアキャンバー
(変更前)左 +0.8 右 +0.5
(変更後)左 −1.0 右 −1.0
リアトー
(変更前) IN 8 mm
(変更後) IN 3 mm
フロントはキャンバーを−1.0度のネガキャンにするだけでなくキャスター含めてきちんとそろえて頂きました。トーはゼロになってます。
ミニのサスペンションのもともとの特性として「ゴーカートのような」とも言われる程の軽快でダイレクトなハンドリングがあります。そういう特性が生まれた理由としては慣性モーメントの小さい10インチホイールの採用と、ロック・トゥ・ロックわずかに3.1回転というパワステが無かった時代としては異常にハイギヤードなステアリングと、その背反として重くなる操舵力を前輪をポジキャンとすることで解消するという基本コンセプトがあります。また、コーナーリング時のアライメント変化、特に対地キャンバー変化を最小限に抑えるために当時最先端であったダブルウィッシュボーン式のサスペンションを採用し、でも車体が小さすぎてスプリングが納まらなかったのでラバーコーンを採用したというオチが付いてます。ラバーコーンは短い変位で応力を吸収するため車体のロールが少なくなり、ゴーカート的なハンドリングを強める結果となってます。
このコンセプトの中で結構大事な位置を占める「ポジキャン」をネガキャンに変えるわけですから、特性変化が楽しみでもあり心配でもあります。ちなみにリアも同じく−1.0度のネガキャンにしています。
そもそもなぜネガキャンにするのか?
カッコイイから、タイヤをフェンダーに納めて車検を通すため、ではありませんw
ネガキャンのメリットとしてコーナーリング時のタイヤ接地面の適正化があります。コーナーリング時にはタイヤに横方向に踏ん張る力がかかってタイヤ自体がかなり変形します。街乗りしかしない場合は全く気にする必要はありませんが、スポーツ走行する場合にはポジキャンやゼロキャンの場合はタイヤの肩の部分だけ異常に摩耗するという現象が起こります。つまりコーナーリング時にタイヤが変形して、タイヤ全面が均一に接地せずに肩の部分だけ強く接地してしまっているわけです。これを避けてコーナーリング時にタイヤ全面が均一に接地するようにする手段がネガキャン化なわけです。直進時には肩の部分を浮かしておいて、コーナーリングで荷重がかかった時に全面で接地するようにするわけです。欠点は操舵力が重くなることですね。荷重がかかるコーナーリング時は特に重くなることでしょうw
リアのアライメントは3mmのトーインになってます。コーナーのターンインでリアタイヤが流れ出しにくいように、つまりスピンしにくいようにする安全方向のセッティングです。
というようなことを頭に置きつつ箱根にドライブに行ってきました。
結果、これまでの速度域+αでは何も起こらない、というかスキール音が出るところまで攻めることすらできず、強烈な横Gを感じつつオンザレールでコーナーを抜けることに終始しました。太くハイグリップになったタイヤとネガキャン化の相乗効果でしょう。リアのトーインも効いているかもしれません。
ステアリングはそれほど重くはなりませんでしたがS字で切り返す時に反力が大きくて滑らかに切り返せないことがありました。ドライバーの腕力不足かなw また、中立付近に少し手応えのない領域があるような・・・、ネガキャン化の悪影響か、重くなった回転系にダンパーの減衰力が追いついていないのか、といった感じでした。
予想外の効果としてはアクセルのオンオフに対するエンジンの揺れが小さくなりました。タイヤの外形がわずか5mm程ですが大きくなったのが効いているみたいです。街乗りが少し楽になりましたw
来週末はファンダンゴさん、プリンミニさんと箱根縦走&富士山一周ツーリング予定。新しい足周りの特性をつかむには時間がないですが、自分の限界内で楽しんでこようと思いますw